ホリスティックケアの基盤について、2007年当時発行されていた機関紙「ビアンジェ」に4回連載で寄稿させていただいたものをアップします。
この連載で書かせていただいたことは長年ホリスティックケアプラクティショナーとしての基盤となっているものです。
クラスやセミナーでもこのようなことに基づいてお話ししています。
ホリスティックケアについて、ご参考になれば嬉しく思います。
第一回 イヌは4本足の友だち
ヨーロッパでイヌたちと生活している人たちはイヌのことを「4本足の友だち”Vier Beinen Freund"」と呼びます。「子供」でも「恋人」でも「ブランド」でもないのです。
「イヌ」という動物をきちんと理解して、尊重して愛すると「4本の足を地面につけて生活している友だち」になるのです。お互いに必要として信頼しているけれど、依存し合っていない。お互いに精神的に自立しながら思いやりあふれて一緒に生活しています。
大切だけれど踏み込み過ぎていないから重たくない、一緒にいてとても自然でかけがえのない、空気のような存在です。
そういう考え方でイヌと一緒に生活していく人たちが集まって、生き物として自然で、心身ともに健康なイヌとどこにでも一緒に出かけられる社会ができあがっています。
ここでは毎回どういうふうに接するとイヌたちと「4本足を地面につけて生活している友だち」になれるのかを、色々な角度からご紹介していきたいと思っています。
今回は第一回として、彼らとお互いに楽しく生活をしていく上で大切なポイントをご紹介しましょう。
1.イヌという動物についてきちんと理解すること
思い込みや自分の経験などを脇において、彼らの生き物としての本当の姿を理解しようとこちらが努力することが大切です。
2.理性で愛すること
「かわいい」とか「目の中に入れても痛くない」、「憎らしい」とか「頭に来る」という感情に流されずに、おおらかに広い心で愛すること。
「してあげる」という一方通行、上から下の考えではなく、「させてもらう」「お互いのためにする」という生き物として同じ目線、両方通行の姿勢で接すること。
時には自分の気持ちを抑えて我慢して見守ることも大切です。
3.食餌や運動などの日常のケアをその子の状態に合わせること
犬種などで分かれていても、私たちと同じくイヌたちも1頭1頭千差万別。親や環境(胎教、生まれてからの環境、新しい飼い主のもとへ行ってからの環境)でも違います。
いくらいいものでもその子に合っていなければただの押しつけになります。食餌は方法や中身にこだわる前に、その子に必要なものはどういうものか、与えてみて状態はどうか、よく観察しながら日々調整していきましょう。
運動も決まりきった運動ではなく、季節や温度、年齢や犬種、体型など色々なことを考えて、歩く早さ、時間、運動内容など、運動の質を考えることが大切です。
このたった3つのポイントをきちんと理解し実践するだけで、イヌたちとの関係は激変し、イヌの健康状態も大きく変わります。仔イヌのうちからのケアは成犬になってから、そして6、7才の老化が始まる頃の健康状態を大きく左右します。健康で生き生きとした老犬は長い年月の結果なのです。
ドイツではイヌのショーの中で「シニアの部」というものがあります。11才のジャイアント·シュナウツァーがまるで5、6才の容姿で悠々と闊歩し、そのケアの素晴らしさに飼い主に賞が与えられるのです。賞をもらったペアの見えない絆をしっかりと感じ、その温かい関係から、いいようのない幸せな気分をお裾分けしていただきました。
生まれた時から兄弟姉妹のように一緒に暮らしてきた犬たちから学んできたこと、そしてドイツで様々な経験からソウルショックを受け、自分の犬たちへの接し方、あり方も変化し、出逢う1頭1頭のイヌたちと共に学日続けています。
この連載で私自身が経験し確信してきた大切な基盤を少しずつお伝えしていきたいと思っています。
この原稿を読むための時間を下さった貴方に
愛と感謝をこめて・・・
ホリスティック・ケア・プラクティショナー 仲澤真里
「ビアンジェ」2007年秋号掲載原稿一部追記
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